自分の中で今流行っているものといえば、それは知らない自販機まで飲み物を買いにいくことである。今日も自転車で見たことのない自販機を探して、ぱっと眼についた自販機でペットボトルを買った。バナナオレだ、確かにバナナの味がするが、いろいろな科学物質をこねくり回してなんとかバナナの味に近づけたような味だ。自分は自転車に乗っていろいろな場所へ行くのが昔から好きで、今もそうだった。しかし、最近の台風や雨模様は、非常に私を落胆させた。せっかくの夏休みも、結局自転車で遠出は出来ずじまいだった。だからいつの間にか、自分は夜にちょっと隣町まで自転車でふらふらするようになった。

日本にはたくさんの自販機がある。夏は台北に居たけれど、日本ほど自販機はなかった。というか、帰ってくると東京の自販機の多さには呆れるくらいだ。台北でも自転車に乗っていろんな場所にいきたかったがいかんせん自転車は持ってきてないし、貸し自転車もどうやら台北で使える電話番号がないと使えないらしいので、自分は仕方なく歩き回って見学した。徘徊して思ったのは、やはりここは昔日本の植民地だったのだなと思われた。この台北留学が初めての海外だったので、もちろん比較しようがないが、非常に日本人にとって居心地の良い国なのだろうと感じた。ファミマもセブンもあるし、三越もココイチも吉野家もある。日本語や日本のものがそこらかしこにあって、不思議な感じだった。しかし台北と東京で一番異なると思われたのは、台北に一軒家はないらしいということだった。東京だと、猫の額ほどの土地にでもむりくりに一軒家を建てるので、長屋のような家や小人のような家が大量にあるが、台北にはなかった。台北に建っている家はほとんどが集合住宅で、一階部分がテナントになっている。台湾人が東京に来て東京の街並みを見たら、実に非効率的だと思うかもしれない。

自分は街を見て回るのが好きだ。この家にはどういう人が住んでいるのか、とか、この家の間取りだったらどこにリビングがあるのだろうか、とか、この窓の附き具合からしたら、このあたりが階段だろう、とか、いろいろな想像ができるからだ。特に一軒家は、住人の個性が色濃く出ていておもしろい。自分の家の近くにはちょっとした高級住宅街があって、テレビ局が時たま思い出したように撮影しにくるくらいには有名だ。しかしそこも最近、よく更地になって、次は誰が住むのだろうかな、とか考えていると、結局アパートが建ってしまうという事態が最近は非常に多い。それは非常に残念だ。集合住宅の外観は個人宅に比べたらそれはつまらないものになってしまうし、住人だってずっと住んでいるのも稀になるので、集合住宅は自分がおもしろがる人間臭さが出て来にくい。それにこのまま集合住宅が増えれば大きな一軒家が連なるちょっとした高級住宅ではなくなってしまう。本当に大きい家はとても興味が有る。土地の関係で豪邸は外人の名前が多いのだが、どうやってこんな土地を手に入れたのか非常に気になる。おそらく華僑だとか商売上手な人たちなのだろうが、大きな家の真っ白な壁や、それを照らす間接照明のオレンジのライトを見ていると羨ましくて仕方がない。あんなに大きなシャッターがあるってことは、恐らく中には高貴な外車が何台も入るだろうし、窓の附き具合によればリビングの天井は少なくとも2m以上はある。部屋がたくさんあってものを置く場所には困らないだろうし、毎日おいしいものを食べているのだろう。それに見合う収入があって、何の不自由だってないのかもしれない。

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